トップ頁 > WEB連載 > WEB連載 民主党政権の化けの皮を剥ぐ > 第2回 問題大臣の化けの皮を剥ぐ

八木 先ほど日教組の話が出ましたが、文部科学大臣には川端達夫氏が就任しました。彼は特別イデオロギーが強い人ではないんですが、文部科学行政に関しては未経験です。ですから日教組の意向がそのまま反映されることになりかねない。
2009年10月9日の記者会見でいわゆる「学力テスト」について、「方向として、抽出方針でやることでまとめようという意志をもっていることは、間違いありません」「学力テストの目的は地域の教育水準を均一化し、向上させること」「やり方や費用の問題でも、抽出調査で十分」と発言し、全国の児童や生徒を対象とした全員調査から、一部を抽出して行なう抽出調査に変更する意向を表明しています。しかもそれを費用の問題、つまりムダを省くという観点から進めるといっています。
しかし、なぜ全国学力テストが悉皆調査で行なわれ、なぜそれに対して日教組が反対したのか。そのことを考えなくてはいけません。つまり、全国学力テストを行なわれると組合活動が盛んな地域ほど学力が低いという連関性が明らかになってしまうから日教組が大反対したんです。げんに都道府県別の平均点の順位を見るだけでもその連関性は裏付けられている。それが市町村別、学校別で出れば、日教組の活動と学力低下の関連性が全部明らかになります。全国学力テストにかかる費用は年間80億円程度ですが、これも使い方によっては有効になるはずなのです。けっしてムダづかいではない。学力テストの成績が不振な学校にテコ入れしたりすれば非常に効果があるはずなのですから。
それから、川端文科大臣の会見で日教組との関係についての質問が出たのですが、そこで日教組との関係を否定する発言はでなかった。就任時の記者会見で「日教組は教育に関わる団体の一つ。教育は生徒児童、保護者、地域、いろんな立場がある。それを総合的に考えて教育をやっていくのが行政の責任」と。でもこれは「日教組のいうことを聞きます」といったのと同じです。今後も日教組の影響力がどんどん大きくなるでしょうし、それがそのまま文部科学行政に反映されるに違いありません。定期的な意見交換会をもつ意向のようです。
教員免許更新制の廃止に関しては選挙前にすでに日教組出身の輿石東参院議員会長が明言している。これも小さいけれどマニフェストに載っていましたから、廃止は決定的です。もちろんこんな小さく書いてあるものをみんなが読んで投票したとは思えない。マニフェストには「教員の資質向上のため、教員免許制度を抜本的に見直す」とありますが、「抜本的に見直す」というのは、もちろん「やめる」ということですからね。
それにマニフェストに書かれている教育委員会制度の抜本的見直しも問題です。私はいまの教育委員会制度には必ずしも賛成ではありませんから、これはある意味使いようはある。自治体の首長が教育政策にも責任をもてるような制度改革はおもしろいかもしれない。しかし、そのことよりも、恐ろしいのは教育監査委員会を設置して教育行政全体を厳格に監視するといっていることです。これは人権救済機関と同じような機関です。そうなると民主党や社民党の教育政策に反するような教育行政をやっている地域や教育委員会に対しては厳重な指導がされるようになるということです。
三橋 普通の人は教育監査委員会という名前を聞くと、組合活動ばかりやっていて、授業を疎かにしている日教組関係の教員を監視してくれるんだろうと思うでしょうが、民主党政権ではそうはならないということですね。
八木 安倍内閣のときにもイギリスに倣ってこれに似た機関を設置しようという考えがありました。これは三橋さんのおっしゃるとおり、法令を堂々と破って組合活動ばかりやっているような教員を野放しにしている教育委員会に査察に入るという話でした。ところが今回の民主党案はその逆です。「教育の政治的中立性を確保する」ということをいまの教育委員会制度は謳っている。監査機関の設置は教育に政治色を露骨に表すシステムにつながっていくんです。
三橋 「教員の政治運動の保障」が彼らの狙いということですか。もちろん、マニフェストにはそれは書いていないけれど、狙いはそういうところなんでしょう。
八木 「イデオロギー教育をしっかり行なって、民主党を支持する国民を育てていきます」そういう政策なんでしょうね。先にも述べましたが、教員数も増やすといっている。選挙前ですが、文部科学省は教員の増員計画を提出しています。「日教組と手を結びます」と文部科学省側がいっているのと同じです。
八木 そして、いまやいちばんといっていいくらいの問題閣僚になっているのが岡田克也外務大臣です。
三橋 意外と世間では岡田は左翼と見られてないんですよね。「彼は保守だ」あるいは「アメリカ通で日米関係にパイプが太い」なんていう人たちまでいるくらいです。
八木 しかし、日米関係といっても、アメリカにもいろんな人がいますからね(笑)。鳩山政権発足直後の9月16日に、早速クリントン国務長官は鳩山政権に対して現実的政策を取れと暗に訴えました。選挙のスピーチは「叙情詩」で、政策は「散文」という比喩を使っていましたね。しかし、その後の日米関係を見ていると、クリントン長官の懸念が的中しつつあるといえます。
三橋 アメリカの見方もわからないではないですからね。海外の新聞記事を見ると、民主党内閣の構成員は社会主義者、組合長、反改革主義者だけだといった具合に、さんざんな書かれようです。それに朝鮮日報が報じたところによると、北朝鮮側が「民主党の新政権は与しやすし」として、接近を図っているという情報もあります。
八木 「親北朝鮮」と見られているということですね。北朝鮮も民主党政権で国交正常化がうまくいけば約5兆円の援助が見込める。それを考えているんでしょう。
三橋 岡田さんは外務大臣として現在もバタバタしていますが、結局何をやりたいのかよくわからない人ですね。いったい、何をやりたいんでしょう。
八木 まずは日中関係の強化でしょう。岡田氏をして「中国通」として一部では持ち上げる人もいるようです。
三橋 現実問題として考えると、今後のいちばん大切な外交課題は中国よりもアメリカとの関係のはずです。しかし、日米関係はこじれにこじらせていますね。もし、岡田外相がインド洋での給油活動の撤退を強行するのであれば、別の人的貢献をしろという話になる。アメリカがいっているのは自衛隊を出せということです。はたして民主党はそういう決断ができるのかどうか。かといって、もしこれも拒否したら、もっと大変なことになるでしょう。そういう点でアメリカは容赦なくやってくると思います。
もう一つ重要なのは北方領土問題です。ロシアが、北方領土は全部ロシアのものだから、今回の政権に認めさせると迫ったら、これはどうする気でしょうか。
八木 「友愛」で乗り切るんじゃないですか(笑)。
三橋 「友愛」で、アフガニスタンに自衛隊を出すんでしょうか、それとも民間人を出すんですしょうか。いまの情勢で民間人を派遣した場合、死者がでることは避けられない情勢です。また、冒頭にも述べましたが、民主党はアメリカと日本の「核密約」を声高に非難していますが、私は本当に悪寒が走りました。どう考えても、これは中国や北朝鮮を利する行為だとしか思えない。それ以外の理由が本当にあるのでしょうか。
八木 「日本が独自に核武装する」といったなら、話はまったく別の方向に進むのですが…
三橋 しかし、そういうことを主張していませんし、そういうことを主張する政治家は民主党のなかには一人もいないですよ。民主党のなかでは防衛政策に通じている長島昭久さんあたりが、この問題をどう思っているのか、聞いてみたいですね。
八木 長島氏は防衛大臣政務官になりましたが、就任直後に政府の憲法解釈を集団的自衛権が行使できるようにするという発言をしました。それはそれでよいのですが、早速、平野官房長官に厳重注意されました。いまの民主党には言論の自由がありませんから、そうとう不満が溜まっているではありませんか。
三橋 民主党の外交的政策を見ると、非現実的すぎて、世界では通用しないと思います。少なくともアメリカは絶対許しません。そう考えると民主党政権は、要するに韓国の盧武鉉政権みたいなものになるような気がします。
八木 いや、もう現実的に「盧武鉉化」しているんじゃないですか? もう一つ気になるのは、外交関係の一つの大きな課題として、鳩山内閣は東アジア共同体の推進を取り上げています。鳩山首相が強力に推進したいんでしょうが、岡田外相もその路線に賛同しているわけですよね。
三橋 現実的に考えて、現在の段階ではまったく無理だといわざるをえません。せいぜい、研究会を開くことぐらいでしょう。
八木 しかし、東アジア共同体もマニフェストにも書いていますから目を離すわけにはいきません。民主党政権は、とにかくマニフェスト第一ということですからね。マニフェストに書いていることは、全部承認されたという立場でものを考えています。つまり「東アジア共同体の構築をめざし、アジア外交を強化する」のが民主党政権下での外交政策だと思っていい。
三橋 鳩山さんはオバマ大統領との会話で日米関係が基軸だと強調していますが、あの鳩山論文を含めて考えてみると、随分と問題のある外交センスの持ち主だということになります。これまでの日米基軸から、だんだん日米、日中を正三角形に近くするということでしょう。要するにバランサー理論ですね。
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