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民主党政権の化けの皮を剥ぐ 三橋貴明(作家、経済評論家)

日本国民が知ったら猛反対するものばかり

 三橋 大阪入国管理局が、中国残留孤児の子孫として訪日して日本人とのつながりに疑問をもたれていた奈良在住の一家の在留資格を取り消し、強制退去を命じていたのに対し、千葉法相は2009年10月9日に在留特別許可を出しています。強制退去を命じられたのは2003年で、その後、最高裁でもこの一家の敗訴が確定していましたが、それを千葉法相が覆したわけです。やはり、これは問題ありといわざるをえません。

 八木 千葉法相は就任直後の報道各社とのインタビューで不法滞在者の扱いについて聞かれ、「日本に長年定着し、罪を犯したりすることなく一生懸命働き、家族も日本がふるさとのようになっている人に『帰りなさい』というのはねえ。日本社会もそういうみなさんの力で成り立っている。少子化などもあり、日本に寄与して地域の一員になっているみなさんに温かい目を向けていく方向にしていきたい」と述べていますから、まさに発言どおりの「確信犯」というところでしょうか。

 また、彼女は女子差別撤廃条約選択議定書などさまざまな議定書への批准にも言及している。ところが、これもメディアは伝えていません。

 三橋 やはりメディアは権力が大きいですから、最初に人権侵害救済法の網にひっかかるでしょう。これらの事実は、既存メディアがしっかりとありのままに日本国民に伝えていたら、猛反対を受けるに決まっているものばかりです。でもけっして真実を書こうとしなかった。それはなぜか。一つは自民党を政権の座から引きずり下ろすためでした。メディアが望んだ政権交代は達成されたわけですが、新聞やテレビなどがこのまま動かないのであれば、その他のツールを使っていろんな媒体で伝えていくべきなんです。

 八木 ほかにも民主党のマニフェストには「特定非営利活動法人をはじめとする非営利セクター(NPOセクター)の活動を支援する」というのがあります。そこには所要額百億円程度と書いてある。つまり、左翼系の市民団体を金銭的に支援するということが書いてある。百億円といっても国家予算全体のなかでは微々たるものでしょうけれども、巨額の予算には違いない。これまでは国からお金を取れなかった左翼団体が、民主党政権になって税金でもって活動資金を得るという回路をつくろうとしている。そこには千葉景子さんもおそらく関わっているでしょうね。

テレビ局への「利益誘導」

 三橋 ほかにも原口一博氏が総務相というのもすごい話です。この人は『たかじんのそこまで言って委員会』(2009年4月19日)のなかで、民主党政権になればテレビの状況はよくなるかと聞かれて、「明るくなりますよ。だっていま、電波料いくらとられてます? 一生懸命稼いでるのがですよ。天下りとか色んなのに遣われてるじゃないですか。それを思いっきり下げますから。それと規制が多すぎるでしょ。あれやるな、これやるなと。放送法のなかの規制、これも余分なものをとりたいですね。頑張ります」「(テレビの将来は)明るい。僕だってテレビ局欲しい」と答えています。これも馬鹿な話です。第一にテレビ局は高額というほど電波利用料を払っていません。全テレビ局を合わせて約35億円の規模です。同じように電波を使っている携帯電話会社は400億〜500億円規模ですので、極端に差があります。電波利用料を削ったところで、テレビ局の経営はよくならない。第二にこれは利益誘導の疑いがある。マスコミと政府がガシッと手を握りますというのをわざわざ宣言しているようなものです。そういう人が総務相として、まさにテレビ局を管轄しているわけです。これもかなり強烈な人事だと思います。テレビ局を味方にしていますから、今後もテレビの偏向報道はどんどん進んでいくでしょう。それを監視する立場の総務大臣がこの人だから、チェック機能も麻痺してしまう。

 八木 これまた露骨ですね(笑)。これで民主党政権への批判は口封じすることができます(笑)。

 三橋 いままでのテレビは明らかに反自民、反体制的スタイルによって民衆に支持されてきたんです。それがウケたのがとくに団塊世代の人たちです。でも今後、民主党万歳報道を続けていても、経済的にはボコボコになる。それでも民主党礼賛報道を続けていれば、これまでテレビを見つづけていた人たちの支持すら失うのは確実です。民主党礼賛報道がますますテレビ局の経営をダメにするんですが、それがまったくわかっていない。

 ほかにも注目したいのが長妻昭厚生労働大臣。あの人は野党議員として、社会保険庁や厚生労働省の不正に切り込んで、調査して徹底的に叩くというのは、すごい才能のあった人でした。けれど、今度が立場が逆ですからね。たとえば労働組合の委員長が経営者になれるかといえば、それは難しいですよね。別に才能云々という話ではなくて、やっている仕事が全然違うわけです。ある程度勉強すればできるでしょうけれど、長妻さんは野党の議員から大臣になったわけですから、これは大変なことでしょう。

 八木 彼の野党時代の攻撃ターゲットは本来の所轄官庁である社会保険庁に向かわずに、専ら自民党や政府に向かっていたわけですね。それどころか、社保庁解体に関しては反対していた。彼の情報はほとんど自治労から入っていたのではないか、と複数の人が指摘しています。そのことを考えると、本当に社保庁とか厚労省改革ができるのか非常に疑わしい。消えた年金の一番の原因は社保庁の公務員の怠慢です。でも民主党は自治労によって支えられていますから、公務員制度改革については、とくにノンキャリアも含めて、「人数を減らす」とか「仕事量を増やす」とか、「給料を減らす」といった強いことはいえないはずです。それどころか、マニフェストでは労働者としての公務員の権利を認め、優秀な人材を確保するといっている。具体策として、公務員の労働基本権を回復し、民間と同様に労使交渉によって給与を決定する仕組みをつくるといっている。これは自治労の権限をより強めるということにほかならない。多くの有権者が期待した公務員制度改革に逆行しているんですよ。

財務大臣は素人さん?

 三橋 次に問題なのは藤井裕久財務大臣です。この人が大臣になった途端に、「為替介入はしない」と宣言して、ドル・円をめちゃめちゃにしました。この事実だけでも、素人さんがいきなり大臣になったというのがよくわかる。こんなこと、一般の野党議員ならいっても許されるかもしれないけれど、財務大臣は絶対いってはいけないのです。

 八木 増税はしないけれど、支出は拡大する。そうするとほかの予算を削るか、赤字国債を発行するしかなくなる。しかも、三橋さんがおっしゃるように、その支出の拡大が経済成長につながらないものだったら、最悪の事態を招きかねないということですね。

 小泉政権のときは国民に対して、「痛みに耐えてくれ」というメッセージを発していましたが、民主党政権は国民に甘いことしかいっていませんからね。国民には何も求めてないわけですよ。甘い言葉ばかり聞かされているけれど、実際経済政策が動き始めたら、次々と辛いことが出てくるに違いない。三橋さんが指摘されているとおり、経済は破綻するだろうし、そうなれば国民の失望感は必ず出てきます。しかし、そういう国民の不満が出てきたときに、今度はそれを力で押さえつけようとするのではないか。そういう心配がありますね。

 三橋 民主党はそれらに対抗する武器をつくっていますよね。人権侵害救済法は典型的な例ですが、それに加えて冒頭で触れた記者クラブ開放の取りやめです。記者クラブの開放を取りやめたということは、民主党がメディア側に譲歩したわけです。ということはメディア側も何らかの譲歩を民主党に行なっているはず。その譲歩が何なのかが恐ろしい。

 八木 メディアにも甘いし、自分たちの支持母体に対してはさらに甘い。政権を取るや早速、日教組に対しても支援してくれたことに感謝の言葉を述べていますからね。教員免許更新制の撤廃、教員数の増加などを民主党はいっていますが、これらはそのまま日教組の政策です。少子化で子供の数は減っているのになぜ教員の数を増やす必要があるのか。当然教員の数を増やせばお金がかかりますよね。

 三橋 見事にお金がかかる話ばかりですね。

 八木 財源が無限にあれば、いろんなことができるでしょうけれども、限られた財源のなかで何をやるのかという話がそもそも必要です。

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