
PHP総合研究所
常務取締役 永久寿夫
「政治への信頼をどん底に落とした」と、佐田行革担当相の不正経理問題や松岡農水相の事務所費問題など「政治とカネ」の不祥事が続出した安倍内閣を非難したのは、鳩山総理本人である。「国民の信頼を回復するため、政治資金の実態をガラス張り」にすると謳っているのは、与党民主党の政策集である。だから、鳩山総理は、自身と小沢幹事長の問題で「国民に疑いをかけられるのは大変遺憾なことだ」などと茶を濁さず、みずから進んで潔白を証明するか、「言行不一致でした」とキッチリ謝罪すべきである。
およそ組織のトップにとって、信頼の獲得こそもっとも重要な課題である。信頼がなければ誰もついていかないし、信頼が崩れた瞬間に組織の士気も崩壊する。人間である以上、過ちを犯さないことはありえないが、過ちに誠実に対処しなければ、信頼の回復はありえない。不況のなか予算審議が遅れても「政治とカネ」の問題解決が先決というのは苛立つし、不祥事の「大先輩」である自民がそういうのも片腹痛いが、信頼できない政権に国を任せられるかと問えば、理にかなう。
問題の根源は、選挙におカネがかかるところにある。地元有権者全員にハガキを出せば1回数百万円である。おカネの分だけPRできるのだから、おカネをたくさん用意できる人が権力者となる。だが、その過程で法や規制を破るという過ちを犯す。この問題をなくすには選挙におカネがかからないようにすることだ。そうなれば、おカネ=権力の構造は崩れる。インターネットを使った選挙活動の解禁に以前から熱心な民主の狙いはここにあるはず。問題がなくもないが、その実現が政治への信頼を根本的に回復する画期的な方法となるかもしれない。
(2010年01月26日掲載。*無断転載禁止)
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永久寿夫(ながひさ・としお/株式会社PHP総合研究所常務取締役)
略歴:1982年慶應義塾大学法学部卒業。スタンフォード大学ロシア・東欧学修士、カリフォルニア大学(UCLA)政治学博士。著書に『ゲーム理論の政治経済学』、『スラスラ読める日本政治原論』など。杉並区行政評価検討委員会委員、神奈川県経営戦略会議委員、東京外国語大学非常勤講師などを歴任。関西大学客員教授を務める。国家経営研究本部長を兼務。
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