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第39回「新文科大臣は“中立性確保・現場重視・ビジョン提示”を」

政策総合研究部主任研究員 亀田 徹

 内閣のメンバーが決まり、新政権が発足しました。各閣僚の名前を眺めると、政権交代の新鮮さを感じます。文部科学臣には川端達夫氏が就任しました。55年体制以降、民間人を除けば初の自民党議員以外の文部科学大臣です。
 新大臣に、これまでになかった次の3点を望みます。

 1つめは、教育の中立性確保の徹底です。
 民主党政権に対しては日教組寄りの教育行政を危惧する声があります。川端大臣は労組出身であり、地元滋賀県の教職員団体の大会にこれまで幾度か出席しています。教職員団体側としては影響力が増すことを期待しているかもしれません。けれども、教育行政が特定の党派的勢力から影響を受けてはならないことは当然です。
 中立性確保のためには、行政プロセスを公開すべきです。新政権では、「官」が「政」と接触した場合の記録公開に関する定めを設けるとしています。同様に、たとえば大臣がどの団体と接触し、どのような意見や要望を聞いたかを公開するのです。政策決定プロセスの一部を透明化することで、特定の団体の影響が及んでいるかどうかを外部からチェックすることが可能となります。
 また、学校現場に対し、むやみにイデオロギー対立をすべきでないというメッセージを大臣自ら繰り返し伝えることも重要です。労組出身の大臣だからこそ説得力があると考えます。

 2つめは、現場重視の姿勢です。
 霞が関の大臣室に座っていても、情報はメディアか行政文書を通じてしか入ってきません。学校教育の課題は学校現場にあり、同時にその解決策も現場にあります。大臣自身が学校現場を訪問し、子どもや保護者、教員の意見を聞くことに最大限の時間を割いてほしいと考えます。
 大臣は多忙だと思いますが、現地の学校や教育委員会の一室を借りて執務を行えばよいのです。ネットや電話を使って東京にいる官僚から説明を受けることは可能ですし、その場で学校の実情を直接聞くこともできます。国会対応もまかせられる部分は副大臣にまかせ、大臣は現場を見ることに専念すべきです。1日2校訪問すれば、年間50日間でも100校を訪問できます。現場の様子を知れば、何が役に立つ仕事で何が無駄な仕事かを把握することができるはずです。

 3つめは、ビジョン策定は国が行い、あとは現場にまかせるという役割分担の明確化です。
 組織のパフォーマンスを高めるためにはリーダーが方針を示し、具体の創意工夫は個々のメンバーにまかせるというのが経営の基本です。しかしながら国はビジョンを示さず、逆に現場での施策に関与しようとしているのが現状です。大臣が現場に赴けば、地域や学校それぞれの創意工夫によって優れた取組が行われていることを知るでしょう。地域や学校の努力を促すため、国はビジョンの策定だけを行い、それ以外は地域や学校にまかせるという方向性を打ち出すべきです。
 将来の日本のあり方を示すのは国の重要な役割です。しかし、これまでの教育政策にはビジョンがありませんでした。民主党のマニフェストにも掲げられていません。「教育主導の社会改革」(『臨教審以後の教育政策』市川昭午著)を推進するためにも教育ビジョンの提示を期待します。

(2009年9月30日掲載。*無断転載禁止)
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亀田 徹(PHP総合研究所主任研究員)

略歴:1991年東京大学教育学部卒業後、文部省に入省。教職員定数、大学改革、生徒指導、学校図書館、人権教育、著作権制度などを担当。98年から2000年まで福岡県教育委員で高校教育を担当。文部科学省生徒指導室長を経て、2006年PHP総合研究所入社。学校経営を中心に、学校教育および教育行政の研究に従事。

亀田 徹(PHP総合研究所主任研究員)

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