衆院山口2区補選の勝利で、9月代表選での小沢氏の代表再選は揺るがないと見られている。前代表の前原誠司氏は無投票再選では党の活力をそぐとして、代表選出馬の構えを固めているとされるが、一時いわれていた「前原新党」結成の迫力を示して初めてパワーをもつことになる。いざとなれば、前原グループを引き連れて離党し、政界再編の起爆剤となるだけの覚悟と準備があるのかどうかがポイントだ。
民主党はすでに言い尽くされてきたが、旧社会党から自民党の出身者までを包含した寄せ集め政党である。小沢氏がその腕力で抑え込んでいるあいだはまとまっているように見えるものの、「実態としては党内の政治的思惑、政治信条はバラバラ」が実情という。
福田首相は内閣改造を見送ってきた。ほぼ安倍前内閣の陣容を引き継いだ「居抜き内閣」であり、自前の改造に踏みきりたい思いはあったのだろうが、これを避けてきたのは、小沢氏とのあいだでいったんは合意した「大連立」の再燃に備えてのことと見られてきた。民主党との連立政権発足となれば、小沢氏を副総理で招くほか、閣僚6ポスト程度を用意しなくてはならない。そのためには、改造するわけにはいかないのだ。改造見送りは小沢氏に対して「大連立受け入れの用意あり」というサインを出しつづけてきたものともいえる。
現段階まで来たら、大連立の動きをどう見るべきか。「大連立は消えたが、中連立は残っている」という見方もある。つまり、自公与党は参院で過半数に17議席不足しており、これを埋めるだけの勢力がまとまれば、そことの「中連立」がありうるというのだ。事実、自民党の幹部が民主党の保守系参院議員と頻繁に接触しているという話もあり、多数派工作は依然として水面下で進行中と見ていい。
だが、民主党の参院議員には労組出身者も多いなどの事情があり、17人を集めるのは容易ではないというのが実情だ。そこで、先の「平沼新党」と国民新党がドッキングし、ここに大江康弘、渡辺秀央両氏ら保守系の民主党参院議員が加わるとなると、17人確保の可能性がかすかながら見えてくる。そうした状況がホンモノになりそうな段階に至った場合、小沢氏はどう動くか。
もともと「いまの民主党に政権担当能力はない」というのが大連立に傾いた小沢氏の本音だった。自公与党との大連立によって、政権担当の経験を積み、来年9月に衆院の任期切れが来るのだから、その時点で仕切り直しをして一大決戦を展開し、二大政党時代への道筋をつけるという構想である。
福田首相との党首会談を重ねた昨年10〜11月時点で考えれば、2年弱の「政権体験期間」があった。大連立構想には「中選挙区制への復帰」願望が見え隠れしていたから、これをもって大連立そのものを批判する向きも強かったが、選挙制度を一朝一夕に変更できるわけがない。現行の小選挙区比例代表並立制は細川政権当時、小沢氏が主導して導入されたものだ。小沢氏にとっての大連立は中選挙区制復帰とは切り離したものであった。
小沢氏の大連立志向はそうとうに強固なものであったはずなのだが、現時点ではどうなのか。小沢氏は心境を明らかにはしていないし、常識的に見れば大連立は消えたということだろう。
だが、9月代表選で再選がすんなりと運ばないといった事態になれば、大連立ないし中連立に向けて一気に転換することも十分にありうる。もっとも、党内にその疑心暗鬼が消えないことが小沢氏への反抗勢力には足かせになっている。うかつに動くと、小沢氏はどんなダイナミックな行動をとるか分からない。そういう不気味さをつねにはらんだ政治家であり、それがまた小沢氏の「剛腕神話」ともなってきたのである。
小沢氏と平沼氏との関係にも触れておかなくてはなるまい。ともに慶應出身の間柄である。綿貫氏が慶應出身、いわゆる三田政界人脈のボス的存在であることと併せて、ここのところは注視していく必要がある。森喜朗元首相を筆頭とする早大雄弁会人脈が政治動向に影響力を及ぼしてきたのと同様、三田人脈の動きも見逃せない。
となると、平沼氏の新党結成の動きを小沢氏が黙って見ているとも思えない。自民党の補完勢力だとして突き放すのではなく、逆に「取り込む」工作を展開するかもしれない。少なくも「平沼新党」を現在の与野党構造のなかで中立的存在に押しとどめておきたいはずだ。それが、総選挙の結果によって民主党と「平沼新党」との連携の可能性を残すからである。
民主党の「容共政権」はない
以上は解散、総選挙の前段階を中心とした政界再編の動きの予測である。時期はともあれ、総選挙になだれ込んだ場合、結果によって大再編の可能性が出てくる。
民主党は現有勢力を倍増させても過半数に及ばない。だが、小選挙区を軸とした選挙制度は得票数と獲得議席に乖離が生ずる。参院選1人区で民主党が圧勝したのもそのためである。小選挙区制を採用しているカナダ、オーストラリアなどでは政権党が惨敗し政権交代が起きている。
衆院300小選挙区を考えてみよう。仮に全選挙区でA党とB党が直接対決したとし、A党が51%、B党が49%の得票に終わったとする。現実には想定できないが理論的にはありうる。得票数はほぼ同じでも獲得議席はA党が300、B党はゼロである。これが小選挙区制の怖さであり、二大政党制が定着したときのメリットである。一方が必ず過半数を制して強力な政権が生まれ、政権運営に失敗すれば次の選挙で政権交代が容易に行なわれる。
そう考えると、民主党が圧勝し政権奪取という展開もまったくの夢物語ではない。だが、永田町の大方の見方は、勝った場合でも野党全体で過半数だろうというあたりが常識的だ。
問題は、共産党を含めれば過半数を超えるという結果に終わった場合である。民主党は共産党との連立に踏みきるのかどうか。共産党はほぼ全選挙区に候補を立てるという旧来の手法を放棄し、次期総選挙では300小選挙区の半分ぐらいにとどめる方針だ。候補不在の選挙区の共産票は必然的に民主党に上乗せされる。公然とした選挙協力がなかったとしても、実態としては共産党に助けられての勝利ということになる。民主党は「容共政権」に踏み出すのか。
人類の歴史は常に「危険への挑戦」の連続であった。それを一つ一つ真摯に受け止め、一歩一歩確実に克服してきたからこそ今日のような豊かで多様な文化があり…
悩める個人投資家に朗報!
元為替チーフディーラーの両雄が!)下落相場でも勝てる!)投資法を徹底指南!
コンプライアンスは一般に「法令遵守」と訳されている。「その“遵守”が間違い」だと郷原氏は指摘する。ただし、それは法令遵守だけでは足りないという意味ではない。とにかく法令を守れ、違反するなというだけでは、何のために、なぜ守らなければならないのか…
夢の自動車「燃料電池車」が一般家庭に普及するのはもうしばらく先になるようだが、「燃料電池」自体は家庭に導入される日が近づいてきている。いよいよ「燃料電池時代」の幕が開こうとしているのだ。
木内博一 (農事組合法人「和郷園」代表理事)
当連載が本になりました!
『最強の農家のつくり方』(定価1,470円)
「農業界の革命児」が語る成功の方程式と日本再生への構想をぜひ、ご一読ください。
野口悠紀雄(早稲田大学教授)
「オフショア」「タックスヘイブン」の姿を知ることで、日本経済の問題点と進むべき道が見えてくる!
第2回 タックスヘイブンは存在悪か?